コルニクス
クロを失うという欠落感と不安、
嫌だ嫌だって気持ちが入り乱れた混沌とした脳内で、
クロがいない生活が考えられなかったんだ。
"楽しい"って何なのか分からなくなっていたんだ。
ただ分からなかっただけじゃない。
辞書で引いても、辞書の項目から"楽しい"だけが消し去られていたかのように。
「よし!じゃあ組むか!!」
「はいっ!!」
勢い良く返事した1秒後、視界の片隅にとらえ、ぎょっとしたものは、
デスクの上の小物入れの中身。
球形の、ちょうどBB弾と同じくらいの大きさの、ラピスラズリだった。
おそらく、私のラピスラズリ。
私のというか、クロの笛の真ん中にはまっているはずのラピスラズリ。