コルニクス
前にこの部屋に来たときに落としたんだ、きっと。
見つかって良かったという安心感と、
どう自分のだと言いだそうかという焦燥感が、
同時に私を襲い、急かし、駆り立てる。
別に疾しいことではないから、普通に自分のだと言いだせばいいのだけれど…。
そのラピスラズリはまるで崇められ、飾られ、クルシオさんがいつも眺めているかのように、
それは大事に大事に置いてあるように見えた。
私が持っているよりずっと。
……ん?
私が持っているよりずっと…?
わ、私だって大切にしてるよ!
ちょっと石がとれちゃったなんてアクシデントもあったけど…。
「じゃ、明日の朝の手紙の配達はクリュにでも行ってもらうか」