コルニクス
それは使おうとしないというよりも、使えない、力が入らないというように見える、と。
おそらく怪我人もその事態を理解している。
受け入れられているのかは知らないけれど、把握はしているだろ。とクリュさんは言っていた。
怪我人の右腕は一生力が入らないかもしれない。
ステルラの初々しい憂い。
私がヘタレだという愁い。
怪我人本人の右腕の患い。
それらを駆逐したのは、怪我人の空元気かもしれない。
うわべだけの、見せかけの元気でテラ・ファミリアの雰囲気を作って、強がっていただけなのかもしれない。
そう思うと、悲しいのに笑顔になる。
同情じゃない。
粋狂や好奇心でもない。