コルニクス
「ぎゃ────────!!!」
怪我人は私より叫んでるけど、
この事態は紛れもなく怪我人が招いたもので。
あれだけ言ったのに怪我人は身を乗り出した。
そんな盛大にバランスを崩したら、コルンバがひっくり返るのは当然の原理で。
ひっくり返ったら墜落するのは時間の問題だった。
目が回る。視界も動転する。
頭に血がのぼる。
「ベルト外したら?」
やけに気の抜けたクリュさんの声。
あれ…?
そんなに大事じゃない?
私は今生きた心地してないけど…
指がもつれてベルトが外せない。
バッシャァ───────
ほのかに頬をかする水しぶき。
あれ…?
無事着水した?