コルニクス
勝手につけてって言われてもなあ…。
目新しい景色と共にいつでも視界の下半分を占領している、漆黒の機体に目がいく。
「クロ」
「くろ?」
「はい。飛行機も服も鴉のように黒いから、あなたのお名前はクロです!」
「…なんか、ペットみたいだね」
目の前の青年には少し可愛すぎるかもしれない。
「じゃあお名前教えて下さい」
名前も知りたいけど、名前を教えてくれない理由も知りたい。
実は名前がない、とか?
名前なんか疾うの昔に捨てた、とか?
「…クロ」
「気に入ったんですか!?それ!」
「さーね」
「もうっ!!」
私はクロの背中を叩いた。
人とジャレル、とはこういうことだろうか。