コルニクス

肩を落とし、「くそ~」と言いながら徐々に海水に浸っていく怪我人の惨めさに、思わず笑ってしまった。

怪我人のパラシュートも気の毒なほど儚げにパサッと水に落ちる。

「風邪引くから、早くコルンバに乗って!ここまで泳いできて!」

「…やばい」

私が叫び終わると同時に、怪我人が静かな低い声で呟いた。

何故かその一言には威厳があって、緩やかな下降線をたどって届いたその声に、私の周りの空気だけ冷たくなる。

寒い。

次にどんな言葉がくるんだろう。

怖くて仕方がない。

怪我人はいきなり暴れだし、左腕を激しく水面に何度も打ちつけ、じたばたした。

「俺右腕使えないんだった!!」

寒さが増す。

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