コルニクス
コルンバと怪我人との間の距離はざっと見て1、2メートルはある。
手を伸ばしても届かない。
怪我人は片腕で泳げるはずがない。
コルンバは操縦方法が分からず動かせない。
波が私たちの距離をどんどん離していく。
私はコートを脱ぎ捨てる。
ものも言わず海に飛び込んだ。
「不言実行ってこういうことを言うんだな…」
怪我人はもはや覇気どころか気力も無くしかけている。
おそらくこの海水が怪我人の気力を体温、体力と共に奪っているのだろう。
私は怪我人のところまで泳ぎ着く。
怪我人の唇は青くなっていた。
「怪我人!しっかりして!!」
私は怪我人を引っ張って泳ごうとするが、一向に進まない。