コルニクス

コルンバまでもが遠ざかる。

衣服が水を吸ってずっしりと重たくなる。

靴に入っていた空気が水に浮きたがり、足をすくわれそうになる。

冷たい海水は私の体温までをも奪い、睡魔が襲う。

冷たいのに眠たい。

「いけない、いけない」

自分の頬を自分で平手打ちして起こし奮い立たせ、
ついでに怪我人の頬も平手打ちする。

「いだい、さぶい…」

「足なら動くでしょ!?足動かしてっ!!」

どこにもつかまれない。

どこにも立てない。

浮くためには常に足を動かし、
波に逆らうためには常に手で水をかき分けていないといけなかった。

こんな大変なことしてるのにクリュさんはどこに行ってるの!?

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