コルニクス
コルニクスは私達とコルンバの間に小さな波を立てて着水し、
操縦士は私達に浮き輪を投げる。
私はその浮き輪にしがみつき、もう片方の腕で怪我人を抱いた。
私達はコルニクスの大きな左翼に引き上げられた。
「空族が溺れていると思ったら、見知った顔じゃないか」
私が咳き込み、水を吐き出し、その分以上に空気を満ち足りることなく欲しているさなかに聞こえてきた朗らかな声。
"見知った顔じゃないか"
その言葉に期待を抱き、お礼を言おうと顔を上げてコルニクスの操縦士の顔を直視する。
……初対面だった。
がっくりと肩を落としたい気分ではあったが、助けられた恩に礼を言おうと思い立つ。