コルニクス

「助けてくださってありがとうございました」

目の前の男性は若々しい声で軽々しく「いーえっ☆」なんて言ってみせた。

ゴーグルのせいか、年齢が全く推測できない。

声からして若いのだろうけど、
私達と同世代か、それより上か……

「お前、生きてたんだな」

男性が微かに喜んだような口振りで、蒼然として咳き込む怪我人の背中をさする。

そうか。コルニクスに乗ってるんだから、ルナの人だ。

「戻りたくなくて連絡を入れなかったのか?」

怪我人は申し訳なさそうに頷く。

これ、ここで対面したらまずかったのかな?

生きてるってルナの人に知られたから、怪我人はもう帰らなくちゃいけないのかな?

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