コルニクス

その雲は、朝食後、私が部屋に戻った5分後にクリュさんが連れてきたものだった。

部屋のドアをノックする音が聞こえ、ドアを開ける。

そこに立っていたクリュさんの顔には、表情というものが、感情そのものが無かった。

鋭く刃物のように鋭利な、光の灯らない目。

その目がつくりだす闇に吸い込まれていくようで、身動きがとれなくなった。

「どう…したの?」

「クロって誰?」

クロ…?さっきの呟きが聞こえていたんだ…。

「誰かなんて分からないよ」

「お前はサウスポーのコルニクスを探している。

それはルナ・ファミリアに知り合いがいるからだと聞いた。

そいつはどういう知り合いだ?」

「クリュさん?」

< 206 / 575 >

この作品をシェア

pagetop