コルニクス

私は肩で息をして激しくしゃくりあげ、鼻をすすり、必死に声をこらえながら泣いていた。

クリュさんが「泣いてちゃ分からないだろ」と言い、足を曲げて私と顔の高さを合わせる。

顔を覗き込まれ、嫌でもクリュさんと目が合う。

「違うなら違うと言え」

ここで言わずいつ言うんだっ!!

私は喉の蓋を叩き破る勢いで声を出した。

「違うっ!!違う違う違うっ!!」

きっと私今、ぐちゃぐちゃのひどい顔してる。

潤んだ視界でとらえたのは、クリュさんの眉が吊り下がる瞬間の顔だった。

「そうか…そうだよな。何言ってんだろうな、俺」

クリュさんは手を伸ばし、頭を撫でて抱き寄せた。

< 210 / 575 >

この作品をシェア

pagetop