コルニクス
そのあとは、クリュさんの過去を少しだけ聞いた。
クリュさんが言い訳がてら、私に話してくれた自分の過去。
クリュさんのお父さんは人をすぐに信じ、よく騙されては損をする人だった、と。
それが原因で死に至らしめたわけではないが、人を疑わず、良い目を見ない人だったそうだ。
昔からそんな父親を見て育ったクリュさんは、人を疑えばいいのにと常に思っていて、人を疑うことが癖になっていたのだという。
でもその考えはクルシオさんに改められ、人を信じることでしか得られない幸せを知ったらしい。
それでもまだ癖は抜けきらず、家族が傷つくなどの辛い思いはしたくないがために、私を疑ってしまったと言っていた。