コルニクス
俺がそう確信したとき、クルシオが大佐殿に話しかけた。
「お迎えさんかい?」
大佐殿は顔を背けたまま目だけをクルシオに向け、
「部下がお世話になりました。感謝します」
と、さっきまでの緩やかなあどけない表情を堅苦しさで隠し、端的に述べた。
大佐殿は、外で待っていると怪我人に伝え、部屋から出ようとする。
俺はさっきの確信を問い詰めようと、出口を自分の体で塞いだ。
大佐殿は眉をよせ、「は!?」とでも言いたげな顔をして戸惑っている。
「コバルト?」
クルシオが謎の単語を発した途端、大佐殿はピシリと固まった。
何かの呪文か?ってくらい。
クルシオが詰め寄り、大佐殿の顔を覗きこんで笑い、抱きついた。