コルニクス
「自分の翼を持ったんだね」
自分の翼…。
なんか…素敵な響き。
「もう俺がセルの翼になる必要はどこにも無くなった。
まあろくに役に立てなかったけど」
心臓が鷲掴みされて締め付けられる。
それは決して嬉しいわけでも、感動したわけでもなくて。
ただただ、痛い。
今なら自分の心臓がどこにあるかが分かるってくらい。
左胸だと思うのは、テレビの見すぎ。
「あのコルニクスの真っ黒な翼は、雲を切る度に穢れや罪を背負っていくんだよ。
風を切る度に俺の左手が断った命の貴さを、未来の重さを纏っていくんだよ」
心臓は、左胸にあるわけじゃない。
「俺と関わることで消える未来もある。だからもう、関わるな」