コルニクス
何か他の気持ちが入り混じったようにとれた。
大股ではなく自然な歩幅でクロと移動している途中、
私は悲しくなって、空を見上げた。
いつもより近くに感じる空。
空の一部に、私はなれたんだ。
翼がほしいという数時間前に強く願った願いが叶うんだ。
喜ぶところじゃないか。
さっきの理想都市とは印象の違う、人気(ヒトケ)のない岩場。
クロは私を座らせ、着ていたコートをバサッと私のうえにかけてくれた。
クロのコートの下からおめみえしたのは、
普通に白のTシャツ。
…なんだ。そこまで黒は貫いていないのか。
私はそっと胸に手をあてる。
違和感を察知し、思い出す。
母の鍵のペンダント────。