コルニクス
無意識だったため、あの男に近づいた後に何をするつもりだったのかは分からないが、
少しの怒りと憎しみの矛先を向けた相手に無意識に自覚も無く我を忘れて近づこうとした。
それをクリュさんは"歯向かう"行動だと認識したんだ。
そして、私を止めてくれた。
私があの男にたどり着き、切っ先をはらう前に。
それはまるで、事を起こした結果がどうであろうと、
その瞬間に私の運命がどうなるかをクリュさんは知っていたかのように。
私がすべてを理解し終えて体から力を抜いたとき、
クリュさんも、私の自由をゆっくりと解き放った。
ドシンッ───────!!!
次の瞬間に力を抜いた私の体がびくつくほど大きな音が鳴った。