コルニクス

「連絡を怠り、迷惑をかけたうえに利き腕の主導権をなくしただと?
殺し屋にとって致命的なミスだ」

怖い。酷い。

「…この、役立たずめがっ!!」

そう言って振り上げられた男の右足。

狙われた標的は、怪我人の頭。

怪我人はその右足を待っているかのように、受け入れ態勢を整え、覚悟していた。

傍観者の誰もが、息をのんだ。

…傍観者だなんて、開き直って見ていてはいけない。

クルシオさんが駆けつけようとした。

でも遠い。

クリュさんが私をまた押さえつけようとした。

でも遅い。

私が行かなきゃ!
私が行かなくちゃ!

感謝されたいわけじゃない。

英雄として崇められたいわけじゃない。

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