コルニクス

彼まで私のことを忘れていたらどうしよう。

都合のいいことばかり考えていた自分を責めるかのように降り注いだ心配事は、すべて今の衝撃で消え去った。

ベッドにしがみついているセルの横で、同じようにベッドにしがみつく。

その後は、頭が痛くなるくらい声を上げて泣いた。

「大きくなったな」

そう言って懐かしい手が私の頭を撫でる。

大きくなったのは、彼も同じだ。

私が3歳だった頃、彼は10歳だった。

今の私はもう10歳。

あの頃の彼の歳になった、私。

あの時子供だった彼だって、大きくなった。

「手紙、ちゃんと読んでたよ」

「え…」

「返事書けなくてごめんな」

なんで…

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