コルニクス
「お前の部屋で見つけてな、こっそり送ってたんだ」
クルシオが小声で言った。
読まれていたんだ、本人に。
読んでくれていたんだ。
空に連れて行って、早く帰ってきて、会いたい、などとわがままばかりでうめつくした便箋を。
お元気ですかくらい書けば良かった。
時には涙で濡らしたり、またある時には殴り書きしたりしたあの手紙を。
きちんと綺麗な字で書けば良かった。
急に嬉しさと恥ずかしさが込み上げてくる。
今の私の中はてんやわんやで込み入っていて混雑しまくっている。
今更込み上げた感情など、入るスペースが無かった。
おかげで、外へ漏れだす。