コルニクス

「あれ…お前どうしたの」

気が付くとクリュさんがあの体勢のまま顔をあげていて、
クロのもとに行ったかと思われた私がまだ曲がり角にいることを問う。

「クリュさん具合悪いのかなって思って」

「急に、な。初めてだ、こんなこと。もうおさまったから」

クリュさんは早く行けと私を促し、背中を向け歩いていく。

クリュさんは行けと言っているのに、なぜ私は納得しないのだろう。

あの背中を追いかけたくて仕方がない。

ほらね、こういう事だよ。

クリュさんの言葉を信用する気持ちと、信用しない体。

私の体は何?何を疑っているの。

もうおさまったっていう言葉が嘘だっていうの?

本当はまだ具合悪いってこと?

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