コルニクス
「もしそうだとしても、クロが私の恩人だということに変わりはありません。
私を救ってくれたのは紛れもなくあなたです」
背を向けたクロの肩が小刻みに震える。
一瞬泣いているのかと思ったが、肩の動きとぴたりと合った息遣いが鼻から聞こえた。
…笑っているようだ。
「こっ恥ずかしいことを平然と淡々と言うなよ。
不意を打たれて恥ずかしがった俺が負けみたいじゃん」
なんか私まで恥ずかしくなってきた…。
「本当のことだから仕方がないです。
受け流せばいいのに、クロが恥ずかしがるから私まで恥ずかしくなってくるんです」
「最初から恥ずかしいことは言わなければ良かっただろ」
「そんなこと今更言っても遅いです」