コルニクス
驚いた。
何かが音もたてず砕け散った。
クロが宿命とも言えるものに乗っかってやってきた力に恭順につつしんで服従し、どこまでも無抵抗だったのは、
その運命を従容として受け入れてしまったからだと思っていた。
世の中がモノトニーに塗り替えられてしまった、あわれな青年だと思っていた。
でも、違った。
クロはそんなモノクロの視界の中に微かな色を見つけ、
そこに望みを詰め込み大切に育てていた。
条件、可能性が共に芽生え、それは野望となった。
クロに迷いはなかった。
私はクロにとって色褪せたモノクロのうちにすぎないのかもしれない。
クロはしたためた目の前の野望にしか興味がないのかもしれない。