コルニクス

「セルからはとても言いづらいだろうと思って言ってるんだ。
この際提案に乗っておいたほうが…」

「じゃあクロは別に縁切りしたいわけじゃないんだね?」

「はい?」

クロは多分、わざと嫌われようとしてる。

「クロが私のためを思って提案してくれているのなら、クロが縁を切りたいわけではないんだよね?」

私の心は捕らわれてるんだから、そんなことしたって無駄なのに。

「ん、まあそうなる…けど」

鈍感だなあ、クロは。

私の心捕まえたことも覚えてないんだ。

「ならいいや」

「なにが」

クロは冷たく問う。

それは本当に冷たくて、まるで氷のつぶてが飛んできたかのよう。
< 294 / 575 >

この作品をシェア

pagetop