コルニクス

「疫病神なら、私だって…!」

「セルは今、空にいるんだ」

食ってかかった私に、クロが素早く、鋭く言った。

それの裏側にこれでもかってくらい分かりやすく貼りついていたたくましさを、心強く感じた。

「少なくとも空のセルは疫病神じゃないよ」

優しさで念を押したクロの力強い言葉に、涙腺が激しく氾濫した。

目に蓋をしてせき止めたい。

でも俺のことを聞かれたときは知らないふりしてと言っているクロが一瞬にして見えなくなる。

「まあ、また来るよ」

ぼやぼやとして輪郭が定まらないため、クロの表情が読み取れない。

「…承知っ」

泣きそうな声でいつかのクロの返答を真似た私は、彼の笑みを見た気がした。

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