コルニクス
そのあともある程度言い合ったところで、背中合わせで笑いあった。
私達以外誰もいない岩場に、笑い声がこだまする。
……嫌だ。
クロとお別れなんて嫌だ。
村を追い出されて傷ついて不安で悲しくて、
見上げた空に飛んでいたクロ。
クロと出会えた偶然は、僥倖すれば良いのだろうか。
偶然だった。幸運だった。
そうやって割り切ればいいのだろうか。
目頭が熱い。潤う。視界がぼやける。
視界いっぱいの白や黒が斑になった岩は、
私の潤った瞳孔を通り、網膜で反射して、
視神経にはすべてまざりあって灰色として認識された。
「じゃあさ、」
クロが白い息を吐きながら話した。