コルニクス

だって形式上ではありつつも血の繋がりがなくとも

一応は妹だし?

礼儀なんて、ノックなんて必要なかったんだ。

それでも時間は前にだけ進み、ステルラの幼さを掴みとって過ぎ去った。

そして失くした幼さの穴を埋めるように、色気の蛹(サナギ)を飼い始める。

猿のようだった妹が、いつしかお洒落に興味を持ち、気を遣いだし、一人前の女の子になった。

色気が羽化して羽が生え、ステルラにむらがる頃には、彼女はすでに女性だ。

そんなことを考え始めたらきりがなくなって、女の子のうちからノックを心がけるようになった。

「はーい」

ドアの向こうでは、未だ女の子のままのステルラの声がする。

「なんで…」

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