コルニクス
「この前の数が合わなかった宅、急、びn……」
ドアを開けながら発せられたクリュ兄の言葉がぶつぶつと途切れ、不自然に終わった。
クリュ兄は右手にドアノブ、左手に何枚かの紙の束を持ったまま固まっていた。
それもそうだ。
そこそこ年頃の弟と妹が抱き合っているのだから。
正確に言えば弟が妹に抱きついているだけなのだけれど。
「悪い」
クリュ兄はドアを閉めた。
謝った…?
絶対勘違いしているっ!
「待って、クリュ兄!!」
「クリュ兄ィィ───!」
未だ俺の腕の中にいるステルラもそう感づいたのか、クリュ兄を呼び始めた。
まず腕をほどいてクリュ兄を追いかければいいのだけど。