コルニクス

ラピスラズリ。空の石。

私は目を細めた。
綺麗にカットされた石が太陽の光を乱反射して眩しかったから。

私の腕が疲れた。
差し出したペンダントをクロがちっとも受け取らないから。

「クロ…?」

「…断れよ」

「え?」

断れって…クロがちょうだいって言ったんだよね?

「大事な物なんだろ。
なんでそんな簡単に差し出すんだよ」

クロ…怒ってるの?

振り返ってクロを見ると、
怒っているのか悔しがっているのか分からない表情をしていた。

とるにたらない微々なことかもしれないけど、
今の私にとっては重要だった。

預からせてと言ったクロが、
何故断れと言ったのかが分からなかったから。

< 32 / 575 >

この作品をシェア

pagetop