コルニクス

「……コホン」

クロの咳払いが悲しく淡く寂しく虚しく儚く響き、
私は焦り戸惑い困惑しながらも、その徒(アダ)のぬるま湯に浸っていった。

「セル、水虫の話は最初から冗談だから、な?気にすんな」

クロの優しく柔らかくゆかしく温かく穏やかな声が私の心に響き、
ぬるま湯が追い焚きされ、ぽかぽかと温まりだしたとき、

「今の言葉は"冗談だって気づけよ、空気読めバカヤロー"って遠回しに言ってるんだからな?」

いつの間にか追い出され、急激に湯冷めした。

「俺ハソンナコト思ッテ無イヨ、クリュサン?」

「なんで片言になってんだよ、クロサン?」

「バカヤローナンテ思ッテ無イヨ、セル」

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