コルニクス
◇TWENTY-TWO
今、この時。
この、一瞬。
"左利きは大抵、左利き用の飛行艇に乗るんだ。
具体的には、通常なら右についているレバーが左にあったり、
ロープが狙いやすいように左側についていたりするんだ"
…本当だ。
私はたった今、コルニクスの後部座席に乗り込む、という緊張感だだ漏れの一瞬を終えたばかりだ。
初フライトの時、コルニクスを見つけ追いかけようとしたが燃料が尽き断念し、マルス・フォルムに燃料を補給しに行ったときに、
クリュさんが教えてくれた知識。
それを体で理解した。
感覚がまるで違う。
でも確かに、いつか乗った、飛んで私を空に連れ出してくれた船そのものだった。