コルニクス

後部座席の背もたれにやっと手で捕まる。

足はとても上がりそうにない。

足は宙ぶらりんのまま帰るか…。
腕と腹筋疲れるけど…。

そんな諦念(テイネン)を心の中でぶっきらぼうに呟く。

飛行中の飛行艇に命綱一本でぶらさがっている状態は、

はっきり言って、ジェットコースターよりも、バンジージャンプよりも、スカイダイビングよりもスリル満点な気がする。

はらはらどきどき、恐怖や期待、ましてルーメンを全滅させた達成感などが混ざった緊張感なんぞは、

もはやスリルというよりリスクと言ったほうが今現在の状況に合致するかもしれない。

不意に背もたれにしがみついている私の左手中指がくすぐったくなる。

< 340 / 575 >

この作品をシェア

pagetop