コルニクス

一所懸命、腕に力を入れ、顎を後部座席の背もたれを越す高さまで上げる。

背もたれの端から目で必死に覗くと、クロがこちらを見ていた。

中指がくすぐったかったのは、おそらくクロにつつかれたからだ。

「何してんの?」

…え。

な…何してんのって!
そりゃ冷たくないかっ!?

「まさか登れないの?」

ゔ…まさにその通りだけど、なんか馬鹿にされてる?

「はいはい、そーですよー。いくらでも馬鹿にしてくださいな」

もうムキになってやる!

「ははっ、まじか。運動神経抜群に無いな」

クロもクロで存分に私のことを馬鹿にする。

私がああ言ったから、おもしろがっていじめてるだけかもしれないけど。

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