コルニクス
こんな上空の風が、花の香りを運んでくるはずもないから、
これは多分、気持ちの問題。
風が薫り、色がつく。
それはすべてクロマジック。
コルニクスはテラ・ドムスを真下に見据え、やっぱり旋回無しで降下する。
今や見慣れた鋼板に、やっぱりプシューと音を立てて着陸する。
私は命綱をはずし、サウスポーのコルニクスから降りた。
「任務完了!」
クロは喜ぶ私に、お疲れ様と微笑んだ。
みんな心配してるかな?
私たちの帰りを心待ちにしてるかな?
……でも、みんなはそれどころではなかったんだ。
私は、早くみんなに私たちの到着と無事を知らせようと、テラ・ドムスの扉を引いた。