コルニクス

自分でお別れの挨拶をしたのに、離れていくコルニクスを見ると、やっぱりひきとめたくなってしまう。

これじゃ、まるで呪いのよう。

地上にいたときには、人の温もりに触れられず、耐え難い苦しみを味わった。

空に来てからは、人の温もりに触れ、ずっと一緒にいられない苦しみを味わった。

どこにいても苦しみからは逃れられないあたりが、呪いみたい。

白いライトがチカチカ点滅しているコルニクスが次第に雲に隠れて見えなくなる。

「悲しいの?」

クリュさんが私に尋ねる。

「まあ…うん」

「でもまあ、人はそうやって強くなっていくんだよな」

……!!?

さっきからクリュさんおかしいぞ!?

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