コルニクス
◇TWENTY-FOUR

:Kuro's eyes‡


コンコン──────…

……

安っぽい木の扉を左手の人差し指の第二関節で叩くと、

返ってくるのは、人の声ではなく、固体同士のぶつかる乾いた音だけだった。

留守かな。

念のためもう一度ノックしてみる。

コンコン──────…

キィ……

木の扉は、古びた幽霊屋敷でも連想させるような奇妙な音を出し、内側に開いた。

俺のノックに気づいた住人が扉を開けたのではない。

ノックした俺の手が、扉を押し開けてしまったのだ。

扉には取っ手もドアノブもなく、
扉というよりは、開閉できるただの杉の板でしかなかった。

トタン屋根の家よりもみすぼらしく貧相に見えるこの木造の小屋の中を覗いてみる。

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