コルニクス
窓が無いのか全く光が入らず、本気で幽霊のひとつやふたつ出てきそうなほどの暗さに必死で目を凝らす。
「すいません、誰かいませんか?」
こんな真っ昼間から出るなんて幽霊どもも億劫だろうから、そこは心配せずに、いるかいないかも分からない"人"に俺は尋ねる。
返事が返ってこないので、小さな声でお邪魔しますと呟いてから、小屋の境目を跨いだ。
暗さに目が慣れないうちに、雲の切れ間から日光が射す。
昼間の高い位置から射したそれは、小屋の中を漂う埃までもを鮮明に浮かび上がらせるほど照らした。
入って右には昔ながらの釜戸があり、側面が黒く焦げていて、
その下には燃え尽きた炭のかすがあった。