コルニクス
俺は驚愕のあまり渇きまくった喉で御意(ギョイ)を唱え、
震える膝を引きずって退室した。
ニヒル・レーギア──────
別名、「無の宮殿」。
宮殿が"無"なのではなく、
世界を"無"にしてしまう宮殿。
つまりは、原子力を使った核兵器である巨大な飛行物体だ。
今は亡きインディゴという科学者が生み出したものらしいが、
彼は自分が開発したそれの威力に戦慄(センリツ)したのち、破壊もできないので起動させる術(スベ)をひとつに絞ったのだという。
ニヒル・レーギアは常に空を漂っていて、
運が良くないと一生に一度も拝めないとか。
…そんな恐ろしいもの、拝みたくもないけどな。