コルニクス
ふりしぼってふりしぼって、自分の声を、気持ちを、全部出した。
「承知」
そして唐突に─────包まれた。
ふわっと香るジャスミン。
ただ暖かい、暗い、ということしか理解できないほどいきなりで、
理解したときにはクロは目の前にいた。
私の頭にぽん、と手を乗せてから、
そっと離れる。
クロを目だけで追いかけて振り返ると、
クロの後ろ姿は後ろの岩の影に隠れた。
気づくと飛行艇が近くに降り立ったようで、2人の男の人が歩いてきているみたいだった。
「お嬢さん、こんなところでどうした?」
クロ…
「捨て子か…?」
「こんだけ成長してるから捨て子ではないだろ」
クロ…
「行く場所はあるか?」