コルニクス

左には背の高い男性。
右には優しそうな女性。
真ん中には可愛らしい女の子。

この右の女性がシアンさんだろうか。

村の人にシアンさんの居どころを尋ねるのに使えると思い、その写真を拝借した。

さらにこの小屋の中に詰め込まれた埃っぽい空気をどうにかしようと、木の扉を開け放つ。

日の光を頼りに見つけた窓も開ける。

窓といっても、上部だけ付いている木板を押し開け、竿で固定する形式の窓だ。

そこから見えた空模様は相変わらず不機嫌で、
垣間見える太陽が、人だかりの中に突っ込んで大人の合間を縫って前に進みたがる子供のように見えた。

「どちら様?」

窓から顔を出していると、一人の老婆に話しかけられた。
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