コルニクス

「セル」

私がパクスに食糧を積むのを手伝っていると、クルシオさんに手招きして呼ばれた。

「どうしたんですか?」

「手を出せ」

言われたままに手を出すと、クルシオさんが何かを私の手のひらの上に置いた。

「これ…」

私の手のひらでコロンと転がったのは、青く綺麗なあの石。

「ラピスラズリ…」

クロからもらった笛の真ん中についてるはずだった石。

クルシオさんの部屋で見つけてから、返してもらうのをすっかり忘れていた。

「これ拾ったときは、俺がマルスにいた頃にコバルトが落として、それが俺の何らかに引っ付いてテラ・ドムスまで運んできたのかと思ってさ。
どんな奇跡だって感動してたんだよ」

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