コルニクス
私がパクスを降りようとすると、右肩がつかまる。
……クリュさんに。
「お前ヘタレなんだから、でしゃばんな」
"でしゃばんな"は語尾に♪や☆がつきそうなほど軽い口調で言われて、
ヘタレを認めざるを得なくなった。
「俺が行ったらドラコ降ろして出発しろ」
そうみんなに言い残して、誰の制止も聞かずに、クリュさんは爆音の中に飛び出して行った。
「クリュさん…!」
私の呼ぶ声は、あの爆音に掻き消されて絶対本人には届いていない。
それでも呼ばずにはいられなかった。
「ドラコを降ろせ!」
「嫌よ!クリュ兄とコルを置いて出発するなんて!」
「仕方ないだろ!クリュももう出てっちゃったし、信じるしか」