コルニクス

左から右に徐々にガラス越しの景色を侵略してくるそれは、私の心を暗くさせた。

次第にテラ・ドムスが見え始める。

さっき耳を突いたドライバーが、今度は胸を突く。

出航、してしまった。

クリュさんとコルを置いて。

テラ・ドムスの開いた1F部分から見えた、綺麗な空に対抗するかのように鮮やかな赤色を放つドラコ。

それが、5分の1の希望と、5分の1の絶望と、5分の3の不安を私に残す。

"期待には応えるぜって顔してんじゃん"

期待なんて1パーセントもない。

コルを連れて無事に戻ってきてくれたらいいななんて思ってない。

どうか戻ってきて。
お願いだから戻ってきて。

それが5分の1の、希望。

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