コルニクス
未だにできなかったんだ。
助けられたい、愛されたいと思ってはいるのに、
助けたくても、愛したくても、
できずにいたんだ。
じんじんと痛む顔面をさすりながら思い出した。
降ってきたのは私と同い年くらいの青年だった。
青年は腕で自分の体を支えながら、ゆっくり起き上がると、
睫毛の長い目を瞬かせた。
勿論、彼の視界には仰向けになった私がいる。
「これ、地面…?」
思ったよりクールなアルトの声…
って、第一声おかしい!!
「はい。地面です」
「あ、助けてくれたの?」
「まあ…下敷きになっただけですけど」
「大丈夫…?」
「貴方こそ大丈夫ですか?」
「何が?なんで?」