コルニクス

深みのある青い空を、鏡のように映していた水面(ミナモ)に、
幾重にも重なった波紋ができる。

描かれた波が光を乱反射して照り輝き、その模様が歪ませる空は像だからこそ、美しかった。

サウスポーのコルニクスがパクスの甲板に着陸する。

まるでナ◯シカのようにコルニクスから降りる、クロ。

そのほかのコルニクスやキュクヌスはクロが帰らせたようだ。

「助かった。ありがとう、コバルト」

みんなが階段をのぼり終え、甲板に着くころにはもう、クルシオさんがクロにお礼を述べていた。

「いや、遅くなって申し訳ない」

「それでも、助かった」

2人の会話は、神秘的な背景に溶け込みきれないほど温かかった。
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