コルニクス
◆TWENTY-SEVEN
広さを記すことのできない空。
もこもこなのにさわれない雲。
群れになって羽ばたく渡り鳥。
鳥や飛行艇を乗せて流れる風。
それらを近くに感じる景色は慣れっこなのに、新鮮に感じる。
なぜなら、それらを見ているのが、見ている私が、慣れない戦艦の中にいるから。
ルナ・ファミリア右大佐艦。
それが、クルシオさんとデンスが連れ帰ってきた艦だ。
ルナは私たちを受け入れてくれるようで、
パクスの半分くらいの大きさの右大佐艦で迎えに来てくれた。
そう、私たちはパクスを捨てたんだ。
我らが母艦パクスを捨て、ルナ・ファミリアへ行く。
それが悲しいことなのか、嬉しいことなのか、分かりやすくて良い。