コルニクス
「見えたよ、あれだ」
デンスの声でみんなが窓に接近する。
「…あれが」
ルナ・ファミリア母船、インフィニートゥム。
それはそれは大きくて。
おごそかで重々しくて荘厳で。
かといって飾り気があるわけではなく質素で簡素でシンプルで。
私の想像とはかけ離れた存在感だった。
二つの棟を繋ぐ二本の渡り廊下。
縦棒を棟、横棒を渡り廊下としたら、
アルファベットのHに一本横棒を付け足したような形。
船というよりは、少しモダンな建物が浮いている、と言われたほうがしっくりくるかもしれない。
ルナ・ファミリアというのは、自らそう名乗ったのではなく、
周りの空族が呼び始めたに過ぎない名らしい。