コルニクス
いちばん奥まで進み、俺の前を歩く元帥は止まった。
「この扉の先が行けんのだ」
一見壁に見えなくもないそれは、確かに開きそうな香りがした。
別に鍵穴がついているわけじゃない。
カエルムは鍵型とは限らないじゃないか。
俺があの子から預かったこれは、カエルムじゃない。
そう確信したとき。
突然発生した青白くまばゆい光に、目がくらんだ。
宮殿内に突風が吹き抜ける。
それは、この建物の形のようにトルネードした旋風(ツムジカゼ)で、立っているのがやっとだった。
「オルビス、なんだそれ!」
アルデオ中将の声で、すぼむ目を必死で開く。
光の源は、俺の服の中、
───あのペンダントだった。