コルニクス
目玉が抜け落ちてぽっかりと穴が開いているような、
何でも吸いこんでしまうブラックホールのような、
暗黒を内に秘めた、そんな目でとらえられた俺は、
蛇に睨まれた蛙のごとく体がすくんだ。
逃げなくちゃ。
カエルムを狙った元帥から、逃げなくちゃ。
…そのあとのことは、ほとんど覚えていない。
元帥の普段の振る舞いからは全く予想できない身体能力。
外見からは全く理解できない素早い動き。
つかまったら終わりだ、と何かが告げ、
その受動的な言葉を自分の中でスローガンのように掲げ、
ただ俺はどこまでも本能的に、狂ったように、踊るように逃げ続けた。