コルニクス
「彼は興味が無いんだと思います、あなたの外見に」
涙を拭く夫人にかける言葉は、探さなくとも次々に口から出てきた。
「だからあなたがどれだけ着飾ろうと無意味です。彼は人の中身しか見ていないのだから」
「中身?」
別に私はクロのことを知り尽くしているわけではない。
でも、分かることもある。
「相手に自分の気持ちをぶつけすぎず、かといって自分を押し殺さず、思いやりを見せ、
いい評判がたつような人望を獲得なさってはいかがですか」
この人が周りを気にせずのうのうと生きてきた人物ならば、それは大変な難題かもしれない。
それでも、努力のほとんどは稔る。
本当に愛しているなら。
強く願うなら。